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書籍の紹介②

最近、本の読み方が変わってきました。
まとまった時間がとりにくいことが変化の要因。

今までは1冊読み終えてから、次の本を読んでいました。
今は、時間と頭のコンディションにあわせて読む本を選択しています。

今は3冊を平行読み。
ビジネス本を1冊。書店お進めの話題本を1冊。専門書を1冊。
ベッドの横には話題本。眠りに入る前に少しずつ読みすすめ。
鞄の中にはビジネス本。会議や打ち合わせ前の隙間時間を利用して。
内容が面白いと車中の信号待ちでも読むことがあります。
そして、専門書。1時間以上のまとまった時間がないと読めない性格。
性格というか、内容の理解に時間がかかる・・。もっと冴えていれば・・。

ということで、今回の書籍紹介は
「発達障害のいま」 講談社現代新書 2011.7.20 第1版 
著:杉山登志郎 259P
あいち小児保健医療総合センター診療科部長を経て
2010より浜松医科大学児童青年期精神医学講座特任教授

第1章 発達障害はなぜ増えているのか
第2章 発達凸凹とは
第3章 発達凸凹の可能性
第4章 トラウマの衝撃
第5章 トラウマ処理
第6章 発達障害とトラウマ
第7章 発達障害と精神科疾患 その1
第8章 発達障害と精神科疾患 その2
第9章 未診断の発達障害、発達凸凹への対応
終章  療育・治療・予防について

臨床最前線で取り組んだ豊富な事例を根拠として
精神科医の立場から書かれた書籍です。
「早く次のページを読みたい」と思った本です。
内容は濃く、重く、おそらく2~3度読み返さないと芯から理解は難しい。
休日にのめり込んで読みました。

特に興味尽きなかったのは
「自閉症者に突然生じる想起パニック」が
自閉症スペクトラム独自の認知特性に根付いた記憶の特徴による
と説明されている箇所。

発達障害の支援に長く関わっている方たちは何度も経験しているでしょう。
私も何度も経験し、家族やスタッフに明確に説明できずにいました。
いままで、穏やかに、いつもより良い状態で活動していたのに、
突然パニックを起こしてしまった。
本人の興味に基づいた活動内容、音・光・対人などの環境整備を
念入りに整えているのに。細心の注意を払っているのに。
そして、活動中に大きな変化はなかったのに・・。
原因を「特に思い当たらないのです」というのは本当に嫌でした。

このタイムスリップによるフラッシュバックへの対応法も述べられています。

詳細な内容をここに書き込むことはできませんが、
精神医学の視点から、内容に引き込まれる書籍でした

コメント一覧

本田 Eメール 2011年08月03日(水)08時56分 編集・削除

 本田です。お忙しい中のブログ更新、お疲れ様です。
 杉山先生の今回の御本、前回15万部を売り上げた「発達障害の子どもたち」とはちょっと趣が違っていますね。前回は広く発達障害の入門書という内容でしたが、今回は杉山先生が最近一番関わっていらっしゃる発達障害と虐待・トラウマに多くの紙面を割いていらっしゃいます。私も、「発達凸凹の人たちは健常者と認知形態が異なるので、健常者が大丈夫な状況でも、発達凸凹の人たちは非常に不安が強かったり、それがトラウマにまでなることがある。」という記述は深く深くうなずけることでした。本当に、わが子を含むこのマイノリティの方々は、「過去を捨てない」人たち。だからこそ、「失敗をさせない」活動に気を使わなければいけない、と再認識しました。何に対して不安が強いかは、感覚処理的な診断である程度は把握できるようです。良書も何冊かありますよ。
以上

所長 Eメール 2011年08月04日(木)18時47分 編集・削除

書き込みいつもタイムリーにありがとうございます。本田さんから、良書を幾つかこの場で紹介して頂けたら。
本著のなかで紹介されていた「天才と発達障害」。評価が高かったので注文しました。内容が納得できれば、また紹介します。

本田 Eメール 2011年08月07日(日)19時35分 編集・削除

 所長、丁寧なご返答ありがとうございます。
 では、今回は一冊ほど。大月書店「育てにくい子にはわけがある」:木村順著。「感覚統合」という療育手法は、今は主流ではなく、あくまで発達障害児者をサポートする、発達障害の当事者さんたちが持っている特性を読み解くためのひとつのアプローチとして、広く認知されていると思います。当事者の方々の本を読んで、「じゃあ、どうしてそういう風に感じるの?」「私たちとは、どうして違うの?」といった疑問を持たれた方々に、この本は最初の一歩を提示してくれる本です。「なるほど、こういう視点があったんだ。」ということを提示されていると思います。
 発達障害は、杉山先生の御本にもあるように「多因子」を要因とする障害ですから、ひとつの「正解」で理解できるものではないと思っています。結局は、生命の多様性のひとつにすぎません。その視点で、こういった観点から、客観的に評価できそうという知識は、持っていて損はないと思います。
 倉光先生ご専門の「応用行動分析」も、客観的評価のための強力なツールのひとつですね。
 以上

所長 Eメール 2011年08月07日(日)20時37分 編集・削除

書籍の紹介ありがとうございます。
客観的評価の基になる、知識・情報を持つこと。それも
多様な価値基準を持って、時々に当てはめられること。
長くやっていると、最初の知識だけで、後は体験や経験を加えて価値基準を作ることがあります。
危険極まりないことです。
新しい支援法や科学的根拠が次々と発表されます。
こうやって、情報交換をして、情報発信することも
意義あることだと感じます。
どんどん、書籍などの紹介をお願いします。

未承認 2013年07月08日(月)03時40分 編集・削除

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未承認 2014年05月12日(月)03時46分 編集・削除

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